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語り得ぬものを語る

主に腕時計と鉄道について語るブログです。自分の所有する物や、商品レビューなども書きます。

小説読本(三島由紀夫)

久しぶりに読んだ三島由紀夫の本。 
三島由紀夫の小説は技巧的で人工的な印象が強く、あまり得意ではないのだが(あと思想的に偏りすぎていてついていけない)、エッセーは素晴らしい。特に印象に残っているのは川端康成の「眠れる美女」の解説で、簡潔で要を得た説明に感心した。どれだけ紙幅を割いても表現することが難しいことを、短い言葉で的確に批評出来るのは、才能というよりほかはない。 

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この本は、小説とは何か、小説の方法、法律と文学など、小説にまつわる様々なテーマにつき三島由紀夫が自分の思いを率直に綴った物だ。時系列になっていないし、寄せ集めっぽい印象もあるが、三島ファンにとっては作品の舞台裏を覗き見るようなところもあり、たまらないのではないだろうか。 

法律と文学では、三島由紀夫の小説作法が法律の論理構造と似ているとあり、法学部出身であることが作品に影響しているのではないかと推測している。三島の文章は表現の美しさに目を奪われがちだが、理路整然としており、丹念に読めば理解出来る類いの文章だと思う。 

平野啓一郎の言うように、三島の書評には読者に取り上げた作品を「読みたい」気にさせる色気があると思った。