語り得ぬものを語る

主に腕時計と鉄道について語るブログです。自分の所有する物や、商品レビューなども書きます。

今日の時計:天賞堂 グランドコンプリケーション

今日の時計はグランドコンプリケーション。超複雑時計という意味で、時計好きの間では有名な4大機能を搭載したモデルだ。
・パーペチュアルカレンダー(永年カレンダー)
クロノグラフ(ストップウォッチ)
ムーンフェイズ(月齢表示)
・ミニッツリピータ(引き打ち時計)

個人的に惹かれるのは、音で時間を知らせるミニッツリピータだ。鐘を鳴らすと、時間単位が1つの音、15分単位が2つの音、分単位が1つの音で示される。そのため、計算しないと正確な時間は分からないのだが、それはそれで面白い。
もっともこの機能、暗がりのなかで時間を確認する必要があるとき以外、役に立たない。だって、時間を見た方が早いのだから。

さて、この時計、超複雑機能で凄い時計だ、という言われ方をするのだが、いろいろ弱点もある。
・電池の減りが早い
・針と目盛りが小さくて、数字が読み取りにくい


針が多いのだから電池を食うのは当たり前なのだが、普段確認する必要がない年針なども動いているので無駄な気がする。ちなみに、普通に使用していても電池は2年程度しかもたない。
数字の読み取りにくさは見た通りで、老眼が進んでくると時刻の確認もしんどい。
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なので、実際の機能よりも、こういう複雑時計を所有する満足感が、所有欲を満たしてくれるのだと思う。実際、月齢なんて気にする人いないだろうし、これは時計好きのロマンに過ぎない。

そんな私がこの時計にロマンを感じるのは、複雑機能に関してではない。思うに、この時計は人生そのものを象徴しているのだ。

どういうことか説明しよう。この針には、年針、月針、日針、曜日針、24時針、時針、分針、秒針、クロノグラフの針の9つの針がある。それに加えて月齢もある。
これがどういう意味を示しているのか?

午前・午後があるので、普通の時計であれば、1日に2度同じ時間を示す瞬間がある。
しかし、この時計が全く同じ時間を示すのは、どのくらいの確率だろうか?

4(年針)×12(月針)×31(日針)×7(曜日針)×24(24時針)×12(時針)×60(分針)×60(秒針)×29.5(月齢)=318,579,609,600

 

つまり、時間を示すパターンが3180億通りあるのだ(あまり複雑にならないように、31日ない月や、閏年の細かな例外はあえて除く)。文字通り、天文学的な数字である。
これって、どういうことかというと、全く同じ時間を示す瞬間は、人間の一生の間では訪れないということでもある。まさに人間の一生と同じではないか。
そう考えると、移ろい行く時間がどれほど貴重なものか理解出来るだろう。そんなことを狙って作った時計とも思えないが、私は深読みしてそういうことを考える。

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