ロシア製の時計といえば、一般的には安価で粗悪品のイメージが強いだろう。実際に手にしてみればその通りなのだが、実用に耐えうる程度の品質はクリアしているので、一部の好事家には人気があるらしい。
そんなロシア製の時計の中で、最も有名なものの一つがシュトゥルマンスキー(Navigationの意味)のクロノグラフだ。
この時計には"伝説"がある。
「地球は青かった」の名言で知られるユーリー・ガガーリンが、シュトゥルマンスキーを装着して、1961年に人類史上初の有人宇宙飛行をしたというものだ。
宇宙に関する時計といえば、真っ先に思いつくのがオメガのスピードマスターだが、あちらは月面着陸に初めて成功した時計なのであり、元祖スペースウォッチといえば、このシュトゥルマンスキーなのだ。こういう蘊蓄やストーリーを語れる時計というのは意外と少ない。
ただし、私が持っているのはガガーリンのモデルではない。日本人初の宇宙飛行士である秋山豊寛氏がソユーズ「TM-11」に搭乗した際に身につけていたモデルだ。
(この写真は正美堂さんのHPからの写真を拝借しました)
バルジューのデッドコピーとも言われるCal.3133を搭載するクロノグラフ。操作感がよいとは決していえないが、文字盤のカラフルな色合いといい、キリル文字といい、独特の雰囲気を持っている。いわゆる高級時計ではないが、味があって気に入っているので、これからも大事にしていきたい。