先日、セイコーミュージアムを訪問しました。
入口では、セイコーのフラッグシップであるグランドセイコーの巨大な写真がお出迎え。
グランドセイコーとは、「理想的な時計とは何か」という命題に対して、セイコーが導き出した一つの解、というのが私の個人的な意見だ。
セイコーが理想的な時計の条件として掲げる「正確であること、美しいこと、見やすいこと」をグランドセイコーは体現していると感じる。特に私は切れ味鋭い日本刀のような大きな針が大好きだ。
さて、11時半に予約していたのだけど、案内してもらうのは私一人だった。 展示の内容を一言で纏めるなら、「時計の進化の歴史を辿る」というものだ。
1階の展示は、日時計や水時計、美しく装飾された懐中時計だった。どれもこれも興味深く、ここでしか見られないようなものばかりだった。
2階の展示は、和時計やセイコーの製品史。
欧米の模倣から始まったセイコーの時計史ではあるが、創業者である服部金太郎の先見性と、当時の日本人の勤勉さ、高い技術力をもって、次々と優れた時計を開発していく。
様々な腕時計を見ているうちに、スイスを中心とした時計業界に追いつけ追い越せと接近していくのが、手に取るように分かった。
特に、1967年のニューシャテル天文台コンクールで上位入賞するところは、日本の時計史の白眉といってもよいだろう。そして、1969年に世界初のクオーツ時計を開発することにより、スイスの時計産業に壊滅的な打撃を加えてしまう。
しかしその後、機械式時計が徐々に復権してくるところは、時計好きの方々ならご承知の通りだろう。とりわけ、スウォッチグループの創始者である故ニコラス・ハイエックさんの影響力・存在感は絶大だったはずだ。
そんな時計史の栄枯盛衰も興味深いのだが、何より展示されている時計が素晴らしかった。
初代のグランドセイコーの気品ある姿、世界初のクオーツ時計「アストロン」、これらを間近で見ることが出来て本当に感激した。
スタッフの方には1時間半ほど説明いただいたのだが、細々とした質問に対しても嫌な顔せずに誠実に答えてくれたのがとても印象的だった。
今回訪館してますます腕時計が好きになったので、腕時計に興味をお持ちの方は、是非いらっしゃってみてください。