大晦日なので、ワインを飲みながらそれらしい物を聴いてみる。よい曲ですが、そのときの気分で選ぶので、1年に1度しか聴かないですね。
久しぶりに読んだ三島由紀夫の本。
三島由紀夫の小説は技巧的で人工的な印象が強く、あまり得意ではないのだが(あと思想的に偏りすぎていてついていけない)、エッセーは素晴らしい。特に印象に残っているのは川端康成の「眠れる美女」の解説で、簡潔で要を得た説明に感心した。どれだけ紙幅を割いても表現することが難しいことを、短い言葉で的確に批評出来るのは、才能というよりほかはない。
この本は、小説とは何か、小説の方法、法律と文学など、小説にまつわる様々なテーマにつき三島由紀夫が自分の思いを率直に綴った物だ。時系列になっていないし、寄せ集めっぽい印象もあるが、三島ファンにとっては作品の舞台裏を覗き見るようなところもあり、たまらないのではないだろうか。
法律と文学では、三島由紀夫の小説作法が法律の論理構造と似ているとあり、法学部出身であることが作品に影響しているのではないかと推測している。三島の文章は表現の美しさに目を奪われがちだが、理路整然としており、丹念に読めば理解出来る類いの文章だと思う。
平野啓一郎の言うように、三島の書評には読者に取り上げた作品を「読みたい」気にさせる色気があると思った。
キハ52の国鉄色
私は自分が乗ったことのある車両の模型しか買わない主義で、この車両には飯山線、大糸線、岩泉線で乗った。なかでも印象深いのは岩泉線である。
2002年の冬、当時の私はJR全線完乗を試みて全国の鉄道を乗り回していた。東北は未乗線区が多かったのだが、なかでも1日3本しか走らない岩泉線は旅程を組むのが難しく、乗り潰し泣かせの路線だった。
宮古を観光して岩泉線に勇躍乗り込もうとしたとき、ホームに停まっていたのがこの車両だった。車体は煙で煤けていて古色蒼然としていたが郷愁漂う印象で、2両編成のうち私は迷わずこの車両を選んだ。
分岐点の茂市を過ぎると徐々に山間部に入る。東北の冬の夕暮れは早く、あっという間に夜の闇に包まれた。降りる人も乗る人もいない駅を過ぎるたびに、一体自分はどこに連れて行かれるのだろうか、という不安な気持ちになったのを思い出す。
上り坂に差し掛かると、車内には軽油の臭いが立ちこめる。苦しそうに小さな車体を振るわせ深山幽谷を駆ける姿には、どこか応援してあげたくなるようなところがあった。
今は岩泉線は廃止されたが、この車両とともに、自分の思い出に深く刻まれている。
先日の日記の続き。
KATOのキハ283系。私が持っているNゲージの車両で最もお気に入りの一つだ。フロント部の青が鮮烈でスマートな外観の特急列車で、この車両を抜きにして北海道の鉄道旅行は語れないと思う。以前は札幌ー釧路間を3時間40分で駆け抜けたのだから、平均時速約100キロの超高速のディーゼル特急だ。しかも狩勝峠越えという難所もあるのだから、そのスピードたるや凄まじいものがある。
また、グリーン車の設備も豪華で素晴らしい。北海道の雄大な自然を眺めながら、快適なディーゼル特急で旅行出来るのは格別であろうと思う。振り子式特急なので、実車と同様にカーブしたときに車体を少し傾けながら走るところが特に気に入っている。
また鉄道模型を買ってしまった。
北海道でおなじみの気動車キハ54形。根室本線の釧路以東や、釧網本線、石北本線の特別快速きたみ、宗谷本線、先日一部廃止になった留萌本線など、最果てを目指す普通列車のイメージが強い。
なかでも、根室を訪れたときに乗った快速ノサップは思い出深い。
そんな個人的な思い入れのある車両だが、KATOやTOMIXからは製品化されない。
グリーンマックスで製品化されていることは知っていたが、前述の2社と比べると見劣りするし2両で11000円もしたので躊躇していた。
そんなこんなでずっと買うかどうか迷っていたのだが、クリスマスの浮ついた雰囲気に乗せられて、思わず天賞堂で購入してしまった。
以下インプレ。
このVHSのカセットのような安っぽいケースはどうにかならなかったのか。車両さえちゃんと動けばよいという人もいるのだろうが、もう少しマシなケースに入れてほしかった。
店で試運転してみたが、やや油が足りないような音がした。これもディーゼルカーらしくてよいのかもしれないが、自分が小さい頃遊んだ模型のクオリティに近いものを感じた。低速走行もやや苦手みたいだし。あと、連結器のドローバーがとてもしょぼい。
とまあ、いろいろケチをつけてみたが、今年鉄コレで出たものだとモーターも取り付けなきゃいけないし、ライトも付けられないしで、こちらの方がよいかなと思う。
実家にあるフラノエクスプレス、昨年買った振り子のキハ283とともに、北海道らしい鉄道が集まってきました。